2022年1月26日開催のセミナー「園に貯まっている資産を活用したコンテンツマーケティングへの挑戦」のセミナーレポートです。
目次
開催概要
日 時:2022年1月26日(水)
場 所:オンライン形式(Zoom)
参加費:無料
主 催:リンクエイジ株式会社、VISH株式会社
セミナー概要
幼稚園・保育園向けインターネット写真動画・撮影・販売サービス「memoridge」(リンクエイジ株式会社)と「園支援システム+バスキャッチ」(VISH株式会社)が共同で「園に貯まっている資産(コンテンツ)を魅せること」というテーマでセミナーを開催しました。
このセミナーの目標は、保育における写真・動画を撮影することが以後の活動において非常に大切であること、そしてその素材を活かしたコンテンツマーケティングの進め方、そしてメモの共有の重要性についてお伝えします。
目次
episode1
写真活用の目的
~保育における写真や動画のあり方。園の目的・保護者の目的・写真屋の目的の把握~
藤田 俊(リンクエイジ株式会社 代表取締役)
【リンクエイジ株式会社】https://www.lage.co.jp
自己紹介
大学卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに入社。学生・保護者・教員への講演・セミナー活動を実施。より相手に伝えるために写真活動を開始。生活習慣・学力における調査などから幼児教育・保育の重要性を肌で感じる。2008年 リンクエイジ株式会社を、現会長 吉奥 祐介とともに設立。 「子どもの育ちを伝える」をテーマに、取締役兼フォトグラファーとして活動。2016年 同社代表取締役に就任。2017年 各種研究会や学会に参加し、子ども理解、保育理解を深めつつ、保育教育現場専門のフォトグラファーとして活動。現在に至る。
何のために何をしたいのか見つめなおそう
たちリンクエイジは幼稚園・保育園・認定こども園に特化した写真業者です。撮影された普段の写真を保護者にお届けするお手伝いをしたいと考え、「memoridge」というインターネット写真動画・撮影・販売サービスを提供しています。
いま、力を入れているのは、日常の保育活動の写真を、保護者や先生たちに届けることです。保護者が普段見ることができない日々の保育こそが、子どもたちの育ちの1シーンを見られるかなり大事なものだと考えています。
また、保護者だけではなく先生にもこうした写真を通じて振り返る機会を作り、写真を通じて先生、保護者、関係者の方々が幸せになれるような提案をしています。
私たちが何のために何をしたいのかをお話ししましたが、幼稚園・保育園・認定こども園の皆さんも「何のために何をしたいのか」を明確にしましょう。
実現したいもの、実現したい状態を固め、そして関係者で共有することが大切です。
そのためには今あるもの、つまり手元にある財産、資産、これを活かすことが必要になります。もし、その材料が手元にないのなら、みんなで同じ方向を目指して一緒に作っていきましょう。
同じ目的をもつチームを作ろう
目的を同じくする者を、協力者といいます。協力者には先生や保護者、そして地域の方々、業者などがいます。自分たちがやりたいことを成し遂げるために必要な協力者に、もし私たちのような業者が必要であれば、目的、目標を同じくするチームに加えてください。
園にとって、子どもたちにとって何が大切なのかは、いわば園にとっての大義だと思います。目的を同じくするチームに私たちが加わることで専門性を発揮し、先生、子どもたちにとってよりよい未来をつくるための一助になりたいと思っています。
目的、目標を同じくするチームを内外問わずに作って、協力者として一緒に進んでいきましょう。私たちは業者でありながら日々先生たちに教えていただいたり、もっとこうした方がいいんじゃないのかという声をいただきながら、園や子どもたちの姿を理解をするために業界を学んで、同じ共通言語で話ができることをめざしています。
価値あるものは意外と手元にある
目的、目標に向かうには、今あるもの、つまり手元にある財産、資産、これを活かすことが必要になります。手元にある財産、資産とは、皆さんが今までに撮りだめている写真なのです。
いままでの写真業者は商品として撮影を扱ってきました。私たちは、写真を商品としてではなく、素材として使うことを提案しています。写真というコンテンツをどう使うかは、近年保育の見える化・可視化という言葉でよく取り上げられるテーマです。本日のテーマに置き換えますと、誰に何を伝えるために可視化が必要なのか、ということです。
可視化の目的は、この園に入りたいと思ってもらえる興味喚起だったり、この園で一緒に働きたいと思えるような興味喚起だったりします。 これを行うには素材を使ったアイデアと実行力、無理のない継続性が大切だと考えます。いかに無理なく継続していけるかを考え、お手伝いしていきたいと思います。
episode2
コンテンツマーケティングの整理術
~コンテンツマーケティングにおいて一番重要なのは「把握と準備」~
大野 達也(リンクエイジ株式会社 取締役)
【リンクエイジ株式会社】https://www.lage.co.jp
自己紹介
大学卒業後、大手通信会社の法人営業部門で1位獲得。その後、M&Aのコンサルティング会社を経て、2010年にWEBマーケティングの会社の役員に就任。2011年、ゲームイラスト会社の株式会社ビアードコスモを創業、代表取締役就任。アフィリエイト広告の株式会社フォースリーを創業、代表取締役就任。2013年に株式会社CINGROUP、執行役員に就任。その後、数社の役員を経て、2020年2月にリンクエイジ株式会社取締役に就任。現在に至る。
写真や動画などの配信するコンテンツは整理と組織内のルールを徹底すること
コンテンツマーケティングって何かを最初にお話しします。簡単にいうと、今あるものを世の中の人に知ってもらうことが、コンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングを始めるには、二つの準備が必要です。それは素材の保管場所の運用と、整理整頓、保管がしっかりできているかということです。 皆さんは園で撮影した写真をどこに保管しているでしょうか。保管場所として考えられるのは、園のネットワーク内にあるサーバー、ご自身がお使いのパソコン内やUSBなどの各種記録媒体、そしてクラウドサーバーなどがあげられます。 皆さんは園の写真の保管場所をきちんと把握しているでしょうか。いくつかあげた保管場所にはそれぞれにメリット・デメリットがあります。結論から言いますと、どこでもいいんです。ただし、どこかを園の皆さんで共有できていることが必要です。
手前味噌にはなりますが、弊社の新サービス「memoridge drive(メモリッジドライブ)」https://drive.memoridge.com/lp は先生方の管理画面にて顔検索機能やSNS風ハッシュタグ管理で簡単に写真の管理ができるクラウドサービスをご提供させていただいております。ご興味ございましたらご連絡頂けると幸いです。
園の先生、事務員さんも含めた組織内で、写真がどこにどのようにあって、何を使っていいのかというルールをきちんと共有していること。そして保存し忘れたということがないように、ルールを徹底して、共通認識を持って業務を回していくことが重要です。
受け取る側の人達の行動や感情を考えること
各園の皆さんは入園や転入の際、子どもたちの肖像権に関する同意書を保護者からいただいていることと思います。園児の写真を保護者の許可なく利用することは、子どもたちの肖像権やプライバシー権の侵害(憲法13条)にあたり、違法となります。また勝手に使用すると保護者から、プライバシーの権利として肖像権侵害を理由に損害賠償請求(民法709条)される可能性がありますので、注意が必要です。
肖像権に関する同意書をいただいたらそのままにせず、肖像権の管理と使用範囲などの運用のために、誰が了承していて、だれが了承していないのかをきちんと管理することが大切です。バスキャッチでも「肖像権の可否」という項目を増やして管理できるようですので、この園児は保護者から肖像権を承諾を得ています、あるいは得ていませんということ、つまり○○ちゃんは使えるけど、□□ちゃんは使えない、という管理はとても大切ですので、きちんと行ってください。
常に定量(数字)で判断すること
リアルな園と同様にインターネット上の園も重要です。ネット検索の検索結果を見て、ホームページがクリックされるのは13%といわれています。それだけに園のホームページはもちろん、できるなら各種SNSまで含めて園の情報の網を貼りましょう。また、ホームページ同様に大切な場所にGoogleビジネスプロフィール (旧Google マイビジネス)があります。こちらは園のホームページ以上に見られている可能性が高いので、改めてチェックをし、運用する場所の一つにしてください。
コンテンツの作り方は、視覚ですべてがわかることを意識しましょう。文字だらけでなく、写真+コメントで十分に伝わります。情報を受け取る側は、文章よりも写真や動画で見てもらった方が配慮があって、優しさがあると考えてもらえます。
まとめますと、
- 1.保管場所のルールを園内でしっかり決めましょう。
- 2.肖像権などの管理をしっかりしましょう。いつでもどこでもすぐ使えるという運用体制を整えましょう。
- 3.情報を受け取る側の人たちのことを考えましょう。
- 4.最後、決断するときや選ぶときは常に定量(数字)を意識して判断しましょう。
Googleアナリティクスというアクセス解析があります。
こちらで、ホームページとGoogleビジネスプロフィールのアクセスで、どちらが多いのかはぜひご確認ください。
episode3
たかがメモ、されどメモ
~怪我・引継・終礼のメモ、共有できていますか?ICTでメモを「可視化」しましょう~
西尾 真吾(VISH株式会社)
【VISH株式会社】https://www.vish.co.jp
少人数で1900施設をサポートするVISHの顧客満足度の秘訣
弊社のサービスは2010年に開始し、今日現在、全国1901施設様で使われています。この運営を担う幼稚園保育園様向けのサービスチームは営業5人、開発3人、サポート9名(正社員2名・パート7名)です。皆さんの園のスタッフより少ないと思います。単純計算でサポートスタッフ1人当たり200園以上と少数精鋭で運営しています。ちなみに継続利用率は98%でサービス開始以来13年で2%の解約、廃園です。
なぜ継続利用率が高く、確約・廃園が少ないのか、その理由は「顧客満足度が高いから」だと思っています。実は1900施設で、まったく同じことをやっている園はありません。営業がすべての園でヒアリングし、日々サポートが運用のご相談やご要望をお伺いし、開発がその要望に基づいて新機能を作ったり、無償のバージョンアップを行っています。
よく聞かれますが、業務日報はありませんし、社員は密に連絡も取り合いません、情報共有の会議もしません。実は自社の「活動報告ツール」という情報共有ツールにひたすらメモっているだけなんです。ただ、これがないと営業もサポートも今のようにはできません。
普段頑張って作っているメモって園にとって価値のある財産
今日ご参加の先生は園内の情報共有、どうされてますか。園にお邪魔すると、先生の手元のメモ帳、机・パソコンに貼ってある付箋、職員室の黒板かホワイトボードでの怪我の情報共有などをよく目にします。 子どもたちのことを一番よく見ている、一番子どもたちのことを考えてる先生が記録したこのメモたちは、めちゃくちゃ貴重な園の財産だと思います。
ところが、○○ちゃんが怪我をしたときヒヤリハットの記録ってどこ? この育児相談の前の面談で何て言ってたっけ?
終礼や職員会議で報告された○○ってどこに書いてある?……貴重なメモや記録を必要なときに検索、引っ張り出したり共有したりとか、データの活用できていない園が多いのではないかと思います。
いろいろな園の先生に、「何で西尾さんじゃないサポートスタッフと話しても、うちの園の過去の相談とか質問したことを覚えてくれてるの?」と聞かれるんですが、実は活動報告ツールに、ちょっと書きなぐったメモを検索して見ているだけなんです。
その財産をシステムで検索共有できるようにしたら…
バスキャッチには活動報告機能があります。その画面ポチっと押して、自由にメモを書いたらどうでしょうか。書式とか気にせずに、怪我をしちゃったよ、落し物があったよ、もらい物をしたよ、と自由に書いてください。写真をつけることもできます。
この記録は、1人の園児に対して入園してから卒園するまでの記録はすべて取っておけます。
口頭で情報共有しても後から検索できないし思い出せないので、すべてここに書きます。同様の機能を持つシステムはたくさんありますから、バスキャッチでなくても、使いやすいものを選んで使ってください。先生たちの価値あるメモを記録しておくだけで、10倍にも20倍にも意味が出てくると思います。
じゃあ明日からメモを残そう、と決めたとき、次のことは止めましょう。複数のツールを使うこと、書式を決めることです。複数のツールは、後で検索できないし、共有できません。書式を決めると書式のためのメモになってしまい、メモる確率が下がります。
このメモを共有するメリットを少し整理しますと、メモ感覚で「気軽に情報共有ができる環境」ができて、「情報のアクセス性が高まって業務効率化につながる」といわれています。そして「知識の共有による教育コストの削減」もあげられます。新入社員が先輩の対応をも見て、学ぶことができるのです。
こうやってメモを共有する、今ある財産を活かしていただくだけなので、何か新しいことをやる必要はありません。先生たちがメモを使ってみんなで子どもたちの情報を共有しようね、という目的はもう既にありますから何かICTのシステムを決めて始めていただければと思います。